宇宙こぼれ話

虎野 第2回 なぜ宇宙に?

なぜ宇宙に?

 第2回の今回は、「2.なぜ宇宙に?」です。

 我々が宇宙に向かう、或いは、宇宙開発を実施している一般的な理由は次の三つです。

 (1) 生活に役立て、生活をより豊かにし、地球文明を発展させる
 (2) 美しい地球を子孫に引き継ぐ
 (3) 宇宙の謎を解明し、生命を探す

 (1)の「生活に役立て、生活をより豊かにし、地球文明を発展させる」については、放送衛星、通信衛星、気象衛星などで馴染みのある内容です。最近ではカーナビでお馴染みのGPSなども身近になっていますね。
 (2)の「美しい地球を子孫に引き継ぐ」は、言い換えると人類文明発祥の星『地球』を守ると言うことです。具体的には地球を宇宙から客観的に観測することにより、地球環境がどのようになっているかを計測するのです。例えば、森林の浸食度合いや、赤潮の発生度合いや、オゾンホールの発生度合いなどです。
 (3)の「宇宙の謎を解明し、生命を探す」は、この大宇宙に存在する法則性を見つけ出し、究極の謎である「生命とは何か」を探るという、謂わば、知的好奇心からの目的です。ここでの最も大きな目的は、「この広大な宇宙において我々は特別な存在なのか? 」という疑問に対する回答を見つけることでしょう。

宇宙

 ところが、最近の世界の、と言うか地球の情勢を見ると、このような知的な目標が達成される前に資源の搾取や自然破壊により地球は消耗しつつあります。また、過去に恐竜などの中生代の生物に大打撃を与えた隕石の衝突、或いは人類自信による地球温暖化などによって地球が破壊される可能性があります。
 これら破壊への道を歩まないように人類は努力する必要があるのですが、現在の科学技術ではどうしようもない地球破壊へのシナリオも考えられます。大型隕石(小惑星と言っても良いでしょう)の地球への衝突や太陽の異変などがその原因になり得ます。これらへの準備をしておくことも必要ではないでしょうか?
 ここで第4の理由が出てくる可能性があります。すなわち、人類を含む地球の生命が移住するための「第2、第3の地球を作るか探す」ことが必要になってくるのではないでしょうか?
 勿論、現在続けている地球の環境回復などは強力に続行する必要はあると思いますが、リスク管理としての他の方策を実行しておく必要があると思いますが、皆様はどう思われますか?

他の惑星を地球化する(テラフォーミング)

 この絵に示すような、他の惑星を地球化する(テラフォーミング)ことや、惑星全てではなくても部分的に地球化するパラ(疑似)テラフォーミングと言う手法も考えられています。
 但し、これは太陽系内の話であり、万一太陽が異常になった場合には、いくらテラフォーミングしようが地球と運命は同じになります。これを回避するためには他の太陽系への移住しか方法はありません。
 第1回の「宇宙の大きさ」で書きましたように、最も近くの恒星系でも約4光年ありますし、そこの恒星系にある惑星に居住可能かどうかも分かっていません。

宇宙ステーション

 ならば、巨大な宇宙ステーションを作り、自由な場所へ移動出来るようにして危険を回避することも考えなければならないでしょう。
 いずれにしても、人類を含む地球生命の存続のために、宇宙開発技術を使うことが必要になってくるでしょう。

宇宙ステーション

虎野吉彦
執筆者
元顧問虎野吉彦