お知らせ
2014/11/28

日本最大 500kW級地熱発電所 2014年 11 月30 日 (日) 売電開始

「宇宙で培った技術を再生可能エネルギーに:宇宙企業コスモテックのエコ発電開始」
バイナリー発電方式採用、温泉井の蒸気のみで発電(売電)する“日本初”の地熱発電所を稼働

 株式会社コスモテック※1(本社:東京都千代田区、社長:虎野吉彦)は、別府温泉の蒸気を利用して 発電する地熱発電所 『コスモテック別府バイナリー発電所』 (大分県別府市)が完成したため、2014年11月30日(日)より九州電力株式会社殿に売電を開始します。

 当発電所は、固定価格買取制度が施行(2012年7月)されて以降、我が国で最大規模となる500kW級の発電能力を有するとともに、バイナリー発電方式※2を採用し温泉井の蒸気のみを利用して発電(売電)する日本で初めての地熱発電所となります。
 当発電所は当社が宇宙事業で培った技術及び経験※3を活用して建設しており、今後の運用及びメンテナンスについても当社にて実施する予定です。

 今後、当発電所の建設及び宇宙事業で培ってきた技術・経験を活用し、全国でまだ利用されていない温泉や工場で利用されずに捨てられてきた廃熱を利用した“バイナリー発電システム“の設計、調達、工事(EPC:Engineering Procurement Construction)を一貫して提供する企業として、再生可能エネルギーの普及促進に努めて参ります。

<売電開始に伴うプレス向け施設公開の開催について>

日時 2014年12月15日(月)14時00分~15時30分
場所 コスモテック別府バイナリー発電所内
申込み 下記窓口へお問い合わせください。

 

<プレス向け施設公開及び当プレスリリースについてのお問い合わせ窓口>
株式会社 コスモテック 新エネルギー事業室
Tel 03-5823-5701 / Fax 03-5823-5702
E-mail / hp_shoudan@cosmotec-net.co.jp

施設概要 「コスモテック別府バイナリー発電所」

 コスモテック別府バイナリー発電所では、温泉配湯事業を行っている株式会社別府スパサービス殿から温泉蒸気を供給してもらい発電を行います。いままで捨てられていた蒸気を発電に利用し、熱水(温泉)はこれまで通り、地域ヘの温泉配湯として利用されます。(下図ビジネススキーム参照)
 また、発電した電力は11月30日より九州電力株式会社へ売電します。数ヶ月先にはPPS(特定規模電気事業者)への売電を予定しています。

設備所在地 大分県別府市大字鶴見字祓川1500番地74
敷地面積 1,650m2(500坪)
発電事業者名 株式会社コスモテック
発電機 Thermapower125MT(125kW)× 4基
ACCESS ENERGY社(米国)製(販売元:第一実業株式会社殿)
発電出力 発電端電力:500kW / 送電端電力:400kW(売電する電力)
初期投資 およそ6億円
年間売上 およそ1億円
投資回収期間 8年程度
年間総発電量 約372万kWh(一般家庭約1,000戸分※4
※4 一般家庭年間消費電力3,600kWh/戸(「住宅太陽光発電に係る消費者保護に関する取り組み」資源エネルギー庁資料より)

図コスモテック別府バイナリー発電所におけるビジネススキーム

■ 本文※1~※3 補足資料

※1 地熱発電事業に参入するコスモテックとは
 宇宙事業が主な業務の企業です。宇宙開発施設の代表格である種子島宇宙センターをはじめとし、全国の宇宙開発施設における電気、空調などのインフラ設備やロケット燃料などを貯蔵、供給する高圧ガス設備の保全、運用業務を請け負っています。また、宇宙センターの各種設備の建設工事を行うほか、ロケットの打ち上げ作業時には当社の技術者を打ち上げサービス会社へ派遣し、ロケット組み立てや打ち上げオペレーションに参画しています。事業割合は、宇宙事業は9割、民間の高圧ガス設備の製造・保全事業が1割となっています。

<発電事業に参入する理由>
1.宇宙事業で蓄積した技術を他の分野にもひろく提供し社会に貢献したいと考えております。
2.地球温暖化や原子力事故の影響により日本の再生可能エネルギーの需要が高まり、その中でも基幹電力として有望な地熱発電の分野を切り拓くことにより、国内の再生可能エネルギーの普及に寄与したいと考えております。
3.売上高の9割を宇宙事業が占めており新たな事業領域を確立し将来の経営安定化を図るため、蓄積した技術やノウハウを活用して宇宙事業以外の市場に参入し経営の多角化を図りたいと考えております。

※2 バイナリー発電方式
 バイナリー発電方式は、比較的温度の低い温泉蒸気や熱水を熱源として発電できることが特徴です。
 熱源を利用し水より低沸点の液体(作動媒体)を加熱、蒸発させ、その蒸気でタービンを回し発電する方式で、熱源系統と作動媒体系統の2つ(Binary)の熱サイクルを利用することからバイナリー発電と呼ばれています。
 温泉蒸気を利用したバイナリー発電方式は、既存の井戸などから70~150度程度で湧出する温泉が、入浴に適した温度に下がるまでに放出されていた熱の一部を有効利用して発電するため、環境負荷が低く、環境に優しい発電方式といえます。

※3 宇宙事業で培った技術及び経験とは
① 宇宙事業で培った高い品質管理の適用
 ロケット及び衛星の製造費は数百億円に及ぶものもあり、一度打上げられると修理が難しいため、宇宙事業においては高い品質管理手法を適用しています。当地熱発電所の建設には、こうした宇宙産業で培われてきた高品質のプラント設計、エンジニアリング技術が活かされており、安全で高い品質の地熱発電所を完成させております。
② 高圧ガス配管技術の適用
 ロケットの燃料である液体水素や液体酸素を種子島宇宙センターにある貯蔵所からロケットに充填しています。これらの燃料を圧力損失を極力少なく、効率的かつ安全にロケットに充填するためには、配管のサイズ、材質、ルーティングを考慮した最適な設計を行う必要があります。温泉発電においても、温泉蒸気を効率よくかつ安全に発電機に供給することが発電量・売電量を増大する上で重要であり、宇宙で培った技術を生かし配管設計施工を行っております。